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お台場のマンガ・アニメ美術館の実現を願います

 先日第一報の流れた、東京お台場に整備される予定の 「国立メディア芸術総合センター」。 マンガやアニメの常設展示美術館として、各方面で様々な話題になっているようです。 予算案として計上された117億円という金額や、そもそもこれまで行政改革で減らそうとしてきた 「箱モノ」 の典型のような施設整備案であること、さらに国が 「アニメやマンガの専門施設を税金で作ること」 への反発もあるようですが、好意的な意見も多いようです。
 
アニメ作品のオリジナル動画や資料などは、実は結構散逸しています。 またマンガ原稿なども、中小の版元などが倒産した際に外部流出するケースも多く、さらにセル画やその原画などは、その多くが産業廃棄物扱いで捨てられてきました。 うちアニメや特撮などの映像は、一般市民が個人で録画した古いβ、VHSテープの物理的な寿命の問題もあり、版元所有のオリジナル・原版がない場合の保存のためのタイムリミットが迫っているとされ、予断を許さない状況にあります。 一度失われた映像は、二度と戻りません。 さらに手塚さん、赤塚さんはじめ多くの先達はすでに亡く、いわゆる 「大御所漫画家」 も高齢者となり、原画や版権などの散逸や混乱の可能性も指摘されています。
 
こうした 「文化喪失」 が起こる背景には、多くの版元が複雑な権利関係をクリアできない (複数の会社や業界団体にまたがって作品を収集するような組織が作りづらい)、文化としてきちんとした評価がされないことによる保存・保護軽視の風潮があります。 脆弱な個人の 「マニア」「おたく」 の個別的な努力に頼って文化を伝えるのも、そろそろ限界でしょう。 また海外からせっかく日本のマンガやアニメを求めて観光客がやって来ても、系統立ててきちんと集積・展示・紹介する施設がないのは、観光の観点でも非常にマイナスです。
 
例えばいま、浮世絵の多くは、海外にあります。 歌麿や広重の浮世絵を見るためには、日本人はわざわざ海外にいかないといけません。 アニメやマンガの美術館は世界中の国で国策として整備されつつあり、「本家」 の日本だけが出遅れている状況です。 このままではひょっとしたら、100年後に手塚治虫や赤塚不二夫、永井豪、水木しげるや藤子不二雄の 「マンガ原画」「アニメ動画」 を見るために、日本人がボストンやロンドンに足を運ばないといけなくなるかも知れません。 げんに浮世絵は、現在そうなっています。
 
肝心の、過酷な就労環境の続くアニメ産業労働者への支援や待遇改善は、これとは別に3年前から、継続した取り組みが行われています (ぜんぜん不十分ですが)。 労働環境の向上、海外などへの販売のためのインフラ作り、そして過去の作品類の保全と保管。 これらはどれもが大切で、それぞれにきちんとした取り組みとして行って欲しいものばかりです。
 
マンガ好き総理、麻生首相とのからみもあり、マスコミの 「無駄遣いだ」 というバッシングも予想される計画ですが、改善すべき点は改善しつつ、ぜひ実現して欲しいものです。

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